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斉藤守彦の「特殊映像ラボラトリー」

第5回 クールアニメ・マーケティング・ヒストリー(2)後編



斉藤守彦



【“アニメに強い”名古屋だけの逆転現象】 

もう少し、データをあげてみよう。

 芝のレポートに書かれた、チェーンマスターであるニュー東宝シネマ1(現・TOHOシネマズ有楽座)での観客構成にも、“大人の観客”の優勢ぶりが現れている。

 ■ 第1週(7/16〜22)=一般72%、学生23%、中学生4%

 ■ 第2週(7/23〜29)=一般65%、学生25%、中学生6%

この傾向は、他の大都市においても、名古屋を除いて同様の現象を見せている。

 ■ 札幌プラザ2=一般46.3%、大学・高校生35.8%、中学生13.2%、小人4.7%

 ■ 札幌ポーラスター=一般55.0%、大学・高校生32.0%、中学生10.0%、

    小人3.0%

 ■ 名古屋名宝シネマ=一般35.6%、大学・高校生59.7%、中学生4.7%

 ■ 大阪三番街シネマ3=一般50.0%、大学・高校生40.0%、中学生・小人10.0%

 ■ 福岡シネマ2・3=一般46.2%、大学・高校生31.0%、中学生15.4%、小人7.2%

                                  (1988年9月1日現在)

 名古屋だけが大学・高校生の比率が60%を占めたのは、特にアニメが強い地域であり、「アニメ・ファンの高校生をよく集客したということか」と、レポートには記されている。観客の男女比は7対3で男性有利と、これまた芝が事前に予想した通りとなった。

 1988年7月16日より、ニュー東宝シネマ1、大友監督の希望によって1週間だけ70ミリ・バージョンを上映した日劇プラザ(現・TOHOシネマズ日劇3)をはじめとする、全国78館で公開された「アキラ」は、ムーブオーバーなども含め、配給収入7.5億円を計上した。東宝としては、経験のないタイプのアニメ映画だったが、これは充分にヒットと形容出来る成績である。

 また翌89年3月、“国際映画祭参加バージョン”と銘打った「アキラ・完全版」がテアトル新宿で公開されており、これが配収1億円をあげたと、当時業界紙記者であった筆者は記憶しているが、あいにくそれを証明する資料が見あたらない。

 なおこの「完全版」は「本編の数カ所、数カットと編集を直して、サウンドをつけ直したバージョン」で、劇場公開後に発売されたビデオ、LD、DVDなどのパッケージ・メディアはこのバージョンをマスターにしているとのことである。

 

【大友克洋を守り抜いた、講談社の“出版社としての姿勢”】 

再び角田との会話。

−結局「アキラ」の製作費は、いくらかかったんですか?

角田

当初の予算は5億円でしたが、最終的に7億円になりました。ただ、最近ブルーレイ・ディスクになったように、新しいメディアが登場すると、必ず商品化されるタイトルです。そういう意味では、息の長いビジネスを展開しています。

−アメリカで、「アキラ」のリメイクが計画されているという情報が、何度か入ってきたのですが、現在の進行状況は?

角田

ワーナーで作るとの話を耳にしましたが、現在どうなっているかは分かりません。おそらくシナリオの段階まで行ってないのではないでしょうか?

個人的な意見ですが、「アキラ」の舞台になっている2019年とは、つまり第二次世界大戦直後の日本をイメージしているんですね。オリンピックを間近に控えて、高度成長が始まろうという時期。そうした時代背景が、敗戦を経験していないアメリカ人では分からないと思います。

ですから、もしアメリカ版を作るのであれば、ワーナーのようなメジャーではなく、インディペンデントの会社のほうが相応しいでしょうね。

最後にした質問から得られた回答は、実に意義の深いものだった。

−なぜ講談社は、大友克洋という作家を、そこまで守ったのですか?アニメ制作中にも、色々とトラブルや行き違いがあったと思います。しかし御社は、大友克洋の意向のみならず、全人格さえ尊重したように見えます。

角田

それは、この会社が出版社だからでしょうね。事実、製作委員会の中でも、大友監督については様々な意見がありました。

ですが、その都度我々が大友監督の立場とその意向を守りました。出版社とは、作家を大切にし、守るところなのです。ただ…正直なところ、大友さんの個性を把握している私でも、数回彼に本気でアタマに来たことがありました(笑)。

 作家の意向を尊重し、守る姿勢。「出版社とは、そういうものだ。それは映画を作る時でも変わらない」というこの意見を、筆者は以前も耳にしたことがある。それは、宮崎駿監督のアニメ映画を作り続けた、徳間書店の総帥である故・徳間康快にインタヴューした時だ。

 「俺は、宮崎が頼んできたことに、NOと言ったことはないんだ」。生前の徳間氏は、そう胸を張った。それはまさしく、作家を大切にする、出版社を代表する者の姿勢であった。

 いかにテクノロジーが発達した世の中になろうと、映画をオートメーションで作ることは出来ない。そこには血が通った人間の主義主張、思想感情が宿ってこそ、初めて人の心を打つことが出来るのだ。コンテンツ・メーカーたる作家を守る姿勢を、映画製作においても曲げなかった出版社に対して、プロデューサーが圧倒的な権限を持つテレビ局は、映画製作の面でも監督よりも出資企業、製作者の意向を最優先しているのは対照的だ。

 いかに優秀なマーケティング・チームが携わろうと、クリエイターの息吹を感じられないソフトは、しょせんその時だけの流行りモノ。製作・公開後21年。多くの人々を魅了してきた「アキラ」は、これからもクールアニメの代表作として、輝き続けることだろう。

 大友克洋が描いた2019年まで、あと10年…。

(取材・資料提供にご協力いただいた皆様に、心から感謝を捧げます)

次回「特殊映像ラボラトリー」クールアニメ・マーケティング・ヒストリー その3に続く!!

クールアニメ・マーケティング・ヒストリー(1)前編

クールアニメ・マーケティング・ヒストリー(1)後編

クールアニメ・マーケティング・ヒストリー(2)前編

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