朝日新聞襲撃事件の真相か(2) 平井修一

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週刊新潮の前回記事の続き「私は朝日新聞阪神支局を襲撃した！（２）」（09年2月12日号）を読んだ。

・池袋の暴力団組長・島村征憲（65）が阪神支局の編集室に入ると、ソファのところに頭がふたつ見えた。「頭がふたつに弾が2発」。記者（犬飼）と目が合った。「やった、と思った、殺した、と。まともに彼の腹に命中したのが分かりましたから」

・鮮明に覚えているのが、1人目を撃った次の瞬間の驚き。まったく想定外の出来事が起きた。「私の右側あたりのソファから別の人間が起き上がってきたのです。2人しかいないと思っていたのに3人目（小尻記者）が突然姿を現したのですから。銃口を彼に向け、一方後ろに下がってから引き金を引きました・・・実際にはパニックになっています。突如として新たなターゲットが現れたから、撃った。ダーン、と。一瞬の出来事です」

・「記者2」（高山）の姿が見えない。通報されたら一巻の終わりだ。人間の尻が見えた。机の下に隠れようとしている。失禁していた。「私は後ろから彼の尻を蹴飛ばした。『おい、5分動くなよ』。テーブルの上から緑色の手帳を取りポケットに入れた」

・事件の前年の夏頃から島村は在日アメリカ大使館職員の佐山から「朝日をやってほしい」と依頼を受ける。北海道・小樽のレストラン業者と朝日新聞北海道支社事業担当がグルになってココム規制品をソ連へ密輸しようとしたこと。

北朝鮮の軍事施設建設に日本の大手ゼネコン5社がかかわっており、仲介したのは朝日関係者だ、などと佐山は島村に語る。

「で、何すりゃいいの？」私が問うと、佐山は「動いてほしいんだ。金の心配はしなくていいから」

・小樽での街宣行動の後、佐山からは現金のほかにキャッシュカードを預り、遊び放題の日々が続く。しばらくしてから佐山は切り出した。

「朝日を狙ってくれ。襲撃してほしいんだ。まずは東京本社をやってくれ」「殺しか？」と聞き返すと、「窓撃つだけでいいから。朝日が襲撃されたという結果を残してくれるだけでいいんだ」

・中央高速の高速バスのバス停で銃身を短く切り詰めた水平二連式の改造散弾銃と、レミントン社製の弾丸100発を受け取る。

・東京本社に銃弾が撃ち込まれたのは、犯行声明文の日付から昭和62年1月24日と報じられてきたが、実際は同年1月3日だという。

＜本社を銃撃してほどなくした頃、佐山から電話があって、こう言うのです。「塾長、本当にやったんですか？」「当たり前だろう。確かめに行ってみればいい」「いや、塾長、変なんだ。朝日に全然、動きがない」

確かに当時、東京本社に銃弾が撃ち込まれた、との報道は出ていなかった。私はむかっ腹を立てながら、「分かった、朝日に認めさせればいいんだな。じゃあ、俺犯行声明を出すよ」

それで私は右翼の野村秋介氏に犯行声明を書いてもらうことにした。私は「赤報隊」の名前の由来も、東京本社銃撃事件の犯行声明文の日付を1月24日とした理由も知らない。ただ、その声明文を共同、時事両社に送ったのは野村氏の機転ですよ。朝日も認めざるを得なくなる＞

・佐山は大きな騒動にならないことが不満のようで、1月末、ホテルで会い、犯行計画を持ちかけてきた。渡されたのは朝日の阪神支局、横浜支局、札幌支局の写真付きの地図と、概要を記したメモ。その際、佐山の上司らしき「J」という外国人も最初だけ顔を見せた。

「この中から選んでほしい。どこでもいい。でも東京本社の時のようなことでは困るんだ。塾長、今度はきっちりと結果を出してほしい」

「佐山、きっちり結果を出せと言うのは、殺せってことだな？　いいのか、それで。記者の1人や2人のタマ（命）取っちゃうぞ」

私の質問に佐山はイエスともノーとも言わなかった。（以下次号）ということだが、記者が失禁していたことなどずいぶん生々しい。

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