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■[雑記]レトロモダンな駅前旅館、京品ホテルが自主営業している姿を訪ねて

 先日、東京へ行ったときのこと。

 日本全国どこでも同じデザインの東横インで朝食を食べた後、品川駅へ行ってみた。

 東海道本線に京浜東北線、山手線、京浜電鉄線のジャンクション。近年、東海道新幹線のホームも設置されて、東京都区内南西部のターミナルとしてますます重要な役割を果たすようになった品川駅。

 その駅前広場の真向かいに、四階建ての近代建築が鎮座している。昭和5年建築というレトロモダンなこの建物は、戦争をも生き延び、高度成長&バブル期の乱開発にも耐え、大都市のど真ん中で約70年前の面影をそのまま残している。

 その名は「京品ホテル」。昨秋ごろからテレビニュースなどでたびたび報道されている。運営会社の経営破綻によって、前社長たちはホテルの閉鎖、従業の解雇を通告。それに抵抗しようとした一部スタッフたちは組合を結成し、前経営陣が求めていた「立ち退き」命令に背き、昨年10月から「自主管理」を始めている。

 以前から気にはなっていたのだが、今回、このホテルの中に入る機会に恵まれた。



「京品ホテルの取り壊し反対 強制執行による立ち退きを止めさせよう」

 建物は品川駅高輪口から徒歩1分。駅前広場から第1京浜道路(国道15号 旧東海道)を挟んだ真向かいにある。

 まずは外見はこんな感じ。



 外壁のタイルなんかは十数年前ぐらいに張り替えられたのだろう。ガス灯モドキの電灯とかもレトロ風な演出のためにデザインされたのだろうが、あまり派手すぎず、ほどほどの加減で往年の趣きを醸し出している。ちなみに、竣工は1930年だから約70年前のこと。設計したのは、早稲田大学建築学科教授だった吉田享二。各地の都市計画にも携わり、戦後は日本建築学会の会長も務めた。

 で、全国的に有名となった閉鎖撤回を訴える各種の看板。ビラ。「京品ホテルの取り壊し反対 強制執行による立ち退きを止めさせよう」



 檄文が寄せ書きされた大きな赤い布が側面に何十枚も貼られている。





 ここの組合の運動。しきりは東京ユニオンという個人加盟制の労働組合がやっているらしい。上部団体は全国コミュニティ・ユニオン連合だから連合傘下になるのだが、大学の"自治会"と称する団体や、旧国鉄に由来する組合、自治労系……などなどいろんな団体が参画している。

 同社が経営していた1階の食堂街も、会社側の閉鎖命令で一時期運営をストップしていたが、3店舗は「自主営業」で再開。営業時間は短縮され、クレジットカードも使えないようだが、それでもランチとディナーを中心に経営を続けているのだという。





 さて、建物に入ってみよう。

 で、入口にはこんなビラが。



 京浜実業株式会社の社長の名前で掲示された物々しい「警告書」の上に、労働組合が「自主運営」している旨のビラを貼っている。そのコトバを信じて中へ。エレベーターは稼働中止しているので階段を登る。



今どき珍しい赤絨毯を歩きながらホテル内へ入っていく

 フロントは二階。客室は52室(78名)だから規模はあまり大きくない。チェーン展開するビジネスホテルの半分、3分の1程度のサイズだ。だが、木目調にデザインされたカウンターは小綺麗に整理整頓されていた。そこを見ている限り、労使紛争の面影をあまり感じさせない。

 「中を見たいんだけど.....」と受付の年配の女性スタッフに尋ねてみると、快諾してくれた。いや、正直、少し迷った感じにも見受けられた。まあ、労使が全面的に衝突している中、近づいてくる"怪しい人"は少なくないんだろう。僕が豹変して旧経営陣寄りの行動に出るかもしれない......との心配もあろう。

 とりあえず、今でも部屋の提供を続けている3階部分に向かう。



 荒々しく左官仕上げされた壁がレトロな雰囲気を醸し出している。やや古びた感じはしているが、今どき赤い絨毯が敷き詰められているのががしてイイ。ヨーロッパの都市に行くと、今でもターミナル駅の近くにはこんな感じのミニ商人宿っぽいホテルがいくつかあるんだよなあ。4月に泊まったルーマニア・ブカレスト駅前の宿もこんな感じだった。

 今は停止されたエレベーターの周りにはこんな空間が。



 ちょっとホテルの雰囲気からズレた60年代テイストのフロアー。

 階段の脇に年代物のピアノが。さほど高そうな感じはしないけど、なんだか僕らがイメージするヨーロピアンなイメージいっぱいだ。



 扉の向こうに通路が続き、両側に部屋が建ち並ぶ。部屋数は52室(78人)。



 その1つに入ってみた。

 正直、部屋は手狭だ。昨晩泊まった東横インのシングルより一回りは小さい程度。後年に増設されたと思われる空調器具が剥き出しになっていて、ちょっと不格好。机の上の備品も雑然としている。



 以前は日本観光旅館連盟に加盟していたんで、電話番号がJTB時刻表に載っていた。食事付きで13,6500円というのはちょっと高すぎるような気もする。

 でも、検索エンジンでキャッシュを拾ってみると、以前はシングルで8,835円〜、ツインだと15000円〜で提供していたのだとか。この値段だと、東京都内でも、中心から少し外れれば、もう少し洗練された宿もあるかも……という気はする。ただ、品川駅徒歩1分という立地、そしてこのレトロモダンなスタイルは、他の追随を許さない。と言うことが分かっていたのなら、きちんと営業していたときにやってくれば良かった.....と少し後悔した。

 ちなみに、ホテルの隣には、こんなレストランが。



 「つばめグリル」。これも京品ホテルの今の建物が竣工した1930年からここで営業しているみたい。真後ろにある巨大な白い建物は品川プリンスホテル。堤さん家の目の前で、堂々と営業をし続けている姿が魅力的だ。



 ちなみに、この周辺の地図はこんな感じ。

大きな地図で見る

 これをアップしてみれば分かるけど、第1京浜とウイング高輪WEST・品川プリンスホテルに挟まれた長細い土地に、戦前から続く京品ホテルとレストラン「つばめグリル」は立地している。ちなみに、ウイング高輪WESTという京急系のビルは、昔の京浜電鉄の高輪駅と高輪ビルディング(駅は1933年に品川駅へ移転)の跡地。

 また、プリンスホテルは長門藩だった旧毛利邸跡。こちらのページhttp://web1.nazca.co.jp/fuk200260/page108.htmlによると、「ホテル・ニューモーリ」なる二階建てのホテルもあったようだ。

 ここらの街並みがどのように変遷していったのか。なんで西武というか堤家がこの土地を手に入れることができたのか。非常に気になるところ。

 

自主運営していくことの難しさ

 さて、ここでもう一つ。

 実は、従業員側が「自主営業」を続けている現在、京品ホテルに「宿泊」は可能だ。正確に言うと、「カンパ」として1人なら7000円、2人なら11000円を支払えば"泊まる"こともできるのだ。いくつかのブログでその報告はなされている。市民メディア"JanJan"でも、「ハゲタカ」に売り渡された京品ホテル、存続闘争が順調に進む−JanJanニュースという記事で報告されている。

 労使の合意が整えばそのお金は会社側へ......という考えのようだが、ここら辺、法律的にはどうなんだろう。その「不法占拠」状態の是非もされることながら、旅館業法とか、消防法とか、保健所のあれこれとか、そういう問題はクリアーしているのだろうか。かなり微妙なラインである。前経営陣側のスタンスで妨害工作に入られて、意図的に"失火"でもされたら大問題になりかねない。

 それを考えると、なかなか問題は複雑になってくる。



 報道などで聞いている限り、前経営陣側が主張する閉鎖に至った理由というのは、



建物が新しい耐震基準に耐えられない

高輪の都市計画区画に入った

後継者もおらず建て直しは困難



ということらしい。それで昨年5月時点で、10月20日での解雇を従業員側に通達した。廃業は「2年半前から検討して」いたと、。高輪の老舗ホテル「京品ホテル」廃業−137年の歴史に幕を下ろす(2008年10月20日)は伝えている。

 その上で、



「従業員には退職金を40%アップし、その90%以上は再就職先が決まっている」



とも付け加えた。

 ただ、従業員たちは反発する。



経営者側の投資の失敗による60億円の負債のあおりを食らうのはおかしい

年間1億円ほどの黒字が出ている

債権者は米証券大手リーマン・ブラザーズの日本法人子会社。ハゲタカファンドへの売却を許すな



というのがその主張。

 この両者のまとめとしては、

京品ホテル - Wikipedia

従業員を解雇し廃業した 京品ホテル経営陣の思惑日経BP

あたりが詳しい。従業員側と思しき人たちが「京品ホテル、自主営業中!」というブログも立ち上げている。

 やはり閉鎖に至る経緯には解せぬことが多い。経営陣側がきちんとしていれば.......という気持ちが出てくるのも、当然のことだろう。

 ただ、従業員側の「自主営業」にも、かなりの問題があるのも事実。

 当然、会社側はホテルの明け渡しを要求している。

 その仮処分決定が1月15日に出てしまった。



 昨年10月、廃業した東京・品川駅前の「京品ホテル」を解雇された従業員らが自主営業を続けている問題で、東京地裁(蓮井俊治裁判官)は15日、経営側の「京品実業」(廃業)の申し立てを認め、従業員側にホテル明け渡しを命じる仮処分を決定した。「使用者による事業の決定は、事業者が自由に行い得る」と指摘。

京品ホテル:廃業 従業員側に「明け渡しを」 地裁が仮処分決定毎日新聞 2009年1月16日



 ホテルで聞いたときはなんとか勝ちそうという話だったが、残念ながらというか、やっぱりというか、明け渡しを命ずる仮処分決定が出てしまった。

 従業員側は、東京新聞の「『屈せずに戦う』 地裁退去命令受け京品ホテル労組 強制執行に抵抗の構え」で「残っている組合員全員が家族。どういう結果になろうと、家族として戦っていく」としているが、期限は1月29日。来週の金曜日に迫っている。

 僕個人としては、心情的にはやはり組合側の気持ちに同調したい。だが、JanJanが「労組自主管理の京品ホテル―「立退き命令」にも負けず−JanJanニュース」などで「世論の盛り上がりが自主管理闘争を後押しすることになりそうだ」という夢見た状況じゃないのも理解できる。品川駅前の超一等地、4階建ての老朽ホテルよりもっと美味しいビジネスが転がっているのではないか。そうソロバンを弾いている不動産関係者は多そう。

 こんなとき、彼らに対してどう語りかければいいのか。適切な立場、考え、言葉が浮かんでこない。

 ホテルからの帰り際、フロントでお礼を言うと、「署名をしてくれませんか」と言われた。京品ホテルの存続を求める要請書だ。

 少し躊躇した。でも、自分の名前と住所を書いた。

「ありがとうございます」という声に送られて、帰途についた。

 階段を降りながら、いろいろと心痛んだのだけど、それはまた別の話。

Permalink | コメント(0) | トラックバック(0) | 17:13

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